勤務体系

特別養護老人ホーム リトルガーデンでの勤務体系は

6:00~15:00 早番

12:00~21:00 遅番

21:00~06:00  夜勤

9:00~18:00  日勤

と分かれています。

基本3交代勤務、補助で日勤勤務や他にパート勤務の方が加わります。

 

早番は朝勤務に就いてすぐに夜勤さんから申し送りを受けて入居者を起こし、食堂に連れて行きます。起こすと同時にトイレ介助、朝食の準備に取り掛かり、朝まだ仕事に就いたばかりで体が温まる前から大忙し。この早番の業務が多分一番大変だと思います。1人での業務になります。起こす入居者は10人、1人で起きてこられる方はあまりいません。10人の移乗だけでとても大変です。(移乗とはベットから車いす車いすから椅子など移動させる業務)

食事は厨房から大きな鍋やタッパーのようなものに全員分入れて運ばれてきます。入居者を食堂の椅子に座らせてタッパーから個人個人のお皿や茶わんに振り分けます。前回説明した通り、入居者ごとに細かく食事形態が分かれています。この食事形態を間違えると大げさではなく入居者の死に繋がります。そう誤嚥性肺炎です。健常者が食事を摂取するのに命がけで食べる方は今の日本にそうはいないと思います。だがしかし、高齢の方で誤嚥リスクが高い方の食事は命がけです。食事は楽しく美味しくがモットーの私も緊張する業務になります。料理をお膳立てすれば自分で食べれる方は自分で食べて頂きますが、各フロア10名中3~4名の方は自分では食べることが出来なく食事の介助にあたります。1人で4人の食事介助は大変なので看護師の方にお願いし手伝ってもらいます。食事介助は「これはハンバーグですよ、次はほうれん草のお浸しですよ」などこまめに声掛けし食べて頂きます。人によってはお口に入れた食べ物を嚥下するまでかなりの時間を要し、食事が終わるまで1時間くらいかかる掛かる方もいます。この嚥下を見届けるのが食事介助での最重要項目です。嚥下を確認しないと誤嚥性肺炎の可能性があり、高齢者の死亡原因の大きな比重を占めています。楽しい食事、されど命がけ。

実際に私の勤務した十数年の間に誤嚥性肺炎で亡くなられた入居者は数十人いました。介助が原因というより高齢で嚥下機能も弱くいつ誤嚥性肺炎になってもおかしくない方ばかりで、言い方が悪いが時限爆弾を抱えている状態です。嚥下が弱い方の家族にはあらかじめ「これこれこのような状態の為いつ誤嚥性肺炎になってもおかしくない状態です。誤嚥性肺炎で亡くなることが考えられます。」と説明し納得して頂いています。どうしても納得できない家族の方には経管栄養や胃ろうを医師交えて相談していました。

経管栄養:鼻から管を通し直接胃に栄養剤を落とす方法

胃ろう:お腹から胃まで穴をあけ管を通し直接栄養剤を入れる方法

ほとんどのご家族は「食事を直接摂らせてあげて下さい、食事中に何かあってもしょうがないです」とのお話を頂いて食事介助させてもらいました。

「食べれなくなったらおしまい、それが寿命だ」と言っている家族が殆どでした。

ではなぜ胃ろうや経管栄養の方がいるかと言うと、その殆どが一度誤嚥性肺炎で病院に入院し、病院では食事が食べれないとほぼ経管栄養か胃ろうにして施設に戻ってきます。家族の方がいざ入居者の方の「死の間際」に直面するとどうして良いかわからず「食事が摂れないなら経管栄養や胃ろうに」と進める医師の言う通りにしてしまうからです。家族にとっては本当に難しい選択です。食べれなくなったら『寿命』と思う反面、『何もしないで見殺し』との考えの狭間で悩んでの選択になります。

終末期における食事にもいろんな葛藤があり、難しい選択が迫られます。

美味しく楽しい食事、なかなか難しいです。

 

因みにこの経管栄養や胃ろうの直接の作業は看護師になります。管がしっかり胃まで届いているかを確かめます。管から少量の空気を流し込み胃の音を聴診器にて聞き取ります。しっかり胃に届いてなく栄養剤を入れるとこれまた誤嚥性肺炎になります。

 

食べるのが好きで人の倍の量を一生懸命食べる私にとって高齢者の食事はカルチャーショックでした。食べる量の少なさ食事のスピード、嚥下機能、命がけの食事、考えさせられることがたくさんありました。

 

食事が終わるとかたずけトイレ介助及びオムツ交換、順番にお風呂介助に移ります。お風呂は1週間に2回、順番になります。お風呂は日勤者及び早番で回します。

ほとんどの方は食事が終わると自分の部屋に戻ります。車いすからベットに移乗させますが、この移乗させる業務がまた慣れないと大変です。移乗やトイレ介助などで腰痛を発生させる職員が多数います。介護の仕事は腰痛との戦いです。腰痛になったことがない人の方が圧倒的に少ない業種です。介護の仕事の不人気の原因の一つにもなっています。

自宅で生活ができない方が入る施設の為、ほとんどの方が自力で歩くのが難しい方です。7割くらいの方は車いす生活になります。歩ける方もいるのと思う方もいるかも知れませんが、歩ける方のほとんどは極度の痴呆症の方になります。

移乗方法を極められるかどうかがその職員が辞めずに長く働いていけるコツになります。私は男性で力が強く移乗に関してはそれほど苦にはなりませんでした。ただし、小柄の女性職員はこの移乗が大問題です。

移乗の研修が施設の重要課題になりました。

この問題は解決しなく腰痛で苦しんでいるケアワーカーは多数います。移乗技術向上の為の研修で何とかしようと何度も何度もしましたが結局腰痛の解決はしないまま「なあなあ」になって行きました。

 

腰痛を何とかしようと声が上がるのはそれから数年後になります。

50人以上働く方がいる事業所は『衛星管理』の国家資格者が必要になります。この資格者の仕事の一つに快適な職場環境作りがあります。私が資格者になり動き出すのはまた後日記載したいと思います。

 

お風呂が終わり朝食から次は昼食に移ります。昼食介助は遅番の仕事になります。この昼食前にトイレ誘導及びオムツ交換、食堂に移動させるまでが早番の仕事、その後自分の昼休憩になり、入居者の食事終わりに各部屋までの誘導及びトイレ介助、オムツ交換後15:00にて早番終了。早番の仕事はここまでになりますが、時間にゆとりが有る時は入居者を外に連れ出して広いお庭の散歩などに行きます。

因みにこれらの行った業務すべてをパソコンに打ち込みすべての入居者の行動を把握します。食事形態からトイレ誘導の回数までパソコンに打ち込みます。このパソコン業務も「メンドクサイ」ですが、のちのち何かあった時の重要な証拠になり職員を守ることに繋がってきます。

 

早番さんお仕事お疲れ様!